弁護士大西のコラム

2016.12.30更新

 先日、新潟県糸魚川市で大規模な火災が発生しました。延焼による火災の規模としては過去20年間で最大なものだそうです。
 

 火災は、通常何者かによる故意または過失によって発生します。
 故意または過失によって、第三者に損害を与えた場合は、民法709条に基づく損害賠償責任が問題となります。
 
 ところが、失火(過失により火事を出すことをいいます。)の場合には、失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)が重過失のある場合に限り、損害賠償責任を負うと定めています。
 従いまして、火事を出してしまった者、火事によって被害を受けた者にとっては、重過失があるかどうかが大きな問題になります。火事の被害者にとっては、火事によって家屋が焼失したとしても、その原因が重過失でなければ賠償を受けられないということになってしまうからです。
 この点について、最高裁昭和32年7月9日判決は、「『重大ナル過失』とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解すべきである。」と判示していますが、いかなる場合に重過失があるのかについては、事例によって判断していく他ありません。
 
 重過失が認められた裁判例としては、以下のようなものがあります。

・石油ストーブに給油する際に、ストーブの火を消さずに給油した(東京高裁平成15年8月27日判決)。

・石炭ストーブの残火のある灰をダンボール箱に投棄した(札幌地裁昭和51年9月30日判決)。

・電気こんろを点火したまま就寝したところ、ベットから落ちた毛布が電気こんろにかかり引火した(札幌地裁昭和53年8月22日判決) 。

・てんぷら油の入った鍋を火にかけて、台所を離れたため、過熱されたてんぷら油に引火した(東京地裁昭和57年3月29日判決)。

・火災注意報が発令されている状況で、周囲に建物がある庭で焚火をした(京都地裁昭和58年1月28日判決)。

 今回の新潟での火災は、報道によれば、中華料理店の店主が鍋に火を付けたまま外出したこと、鍋の空焚きが原因のようです。
 中華料理店の店主であれば、鍋に火をつけたまま外出すれば、どのような結果が生じるのかは簡単に予見できるように思いますので、重過失は認められるのではないかと思います。
 ただし、損害賠償責任を負うにしても、これほどの大規模火災ですから、被害額も莫大なものになります。支払能力がなければ、結局のところ、賠償金を得ることはできませんので、こういった火災では火災保険加入の有無、その内容(支払金額が建物の時価なのか、新価なのか)が問題になっていきます。

【失火責任法】
 民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

投稿者: 大西法律事務所

2016.03.04更新

 神保町に事務所を開設したのは、神保町が司法試験の勉強をした思い出のある街だからです。

 

 私は、大学卒業後、神保町にあった司法試験予備校に通い始めました。その予備校はその後吉本興業の東京本社になっています(現在は移転しています)。

 

 最終合格までの最後の1年間は、その予備校でアルバイトをしていたことや、アルバイト用の机があったこともあり、毎日神保町に通っていました。

 

 今回、10数年ぶりに神保町に戻ってきましたが、書店や老舗の飲食店が残っていて、非常に懐かしいです。

 

 神保町という地名は、江戸時代に幕臣である神保長治が屋敷を構えていたことに由来するものです。

 

 その前の通りは神保小路と呼ばれていたそうで、最初は「神保小路法律事務所」という名称もいいなと思っていたのですが、現在のさくら通り、すずらん通りが「表神保小路」、靖国通りが「裏神保小路」ということで、少し離れているため断念しました。

投稿者: 大西法律事務所

2016.02.23更新


 先日のことなのですが、ある新聞社から電話があり、「先生は、覚せい剤で逮捕されたKさんの弁護士ですか。」と聞かれました。

 

 違いますと答えたのですが(実際違います。)、その直後に違う記者から同内容の電話がありました。どうやら私と同性の弁護士のようです。

 

 今まで、接見のため拘置所に行った際、入り口のところで、○○さん(ある事件で勾留されている被疑者です。)に接見したんですか、という質問をされたことがあります。

 

 以前、ニュースになるような事件の代理人をしたことがありますが、提訴や判決の際は新聞社やテレビ局から次々と電話はかかってきて大変でした。判決に対するコメントを取られたりするわけです。

 

 報道されるからには、正確な伝えてもらわなければならないですし、依頼者の不利益にならないようにしなければならないのは言うまでもありません。

 

 提訴した際や裁判中の場合には、その内容を貴社の方に理解していただくように説明する必要がありますし、何社からも取材を受けるような場合には、同じ質問と回答を繰り返すのでなかなか大変なのです。

投稿者: 大西法律事務所

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