ケーススタディ

2016.06.16更新

【相談前】
 いとこが亡くなりました。
 いとこは独身で両親はすでに他界、兄弟もいません。
 いとこには不動産と預貯金があります。いとこは長年癌で入通院を繰り返していたのですが、身の回りの世話や病院の付き添いは私が行っていました。
 私がいとこの遺産を相続することはできるのでしょうか?


【相談後】
 相続人になることができるのは、配偶者、子や親などの直系卑属や直系尊属、兄弟姉妹(代襲相続人を含む。)に限られます。


 いとこには、相続権はありませんが、①被相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養看護に努めた者、③その他被相続人と特別の縁故があった者は、特別縁故者として、家庭裁判所に申し立てることによって、相続財産の全部ないしは一部を取得することができます。

 

 依頼後、まずは、利害関係人として、家庭裁判所に対し、相続財産管理人の選任を申し立てました(相続財産管理人は,被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行う者を言います)。

 家庭裁判所からの相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告、相続人を探すための公告がなされ、その期間満了後に、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てを行いました。
 依頼者は、家庭裁判所における審判によって、特別縁故者であることが認められ、債務や他に特別縁故者の申立てもなかったことから、相続財産の全部を取得することが認められました。

 

 甥や姪、従兄弟のような割と近い関係にある親族でも、相続人になれるわけではありません。
被相続人と生前に何かしらの関係にあれば、特別縁故者としても財産分与は認められると思います。法人でも特別縁故者と認められることもあります。
 特別縁故者として財産分与を受けるためには、複数の段階を踏む必要があり、期間制限もありますので、弁護士に相談、依頼された方がいいと思います。

投稿者: 大西法律事務所

2016.04.29更新

 今回ご紹介するのは、原状回復費用を相殺したとして敷金返還を拒否する貸主に対し、敷金返還請求訴訟を提起し、請求額の全額が認められた事例です。

 

【相談前】
 ビルの1フロアを賃借し会社を経営してきましたが、会社の営業を停止することになりました。


 敷金としては賃料の4か月分120万円を差し入れてきましたが、貸主からは原状回復費用として100万円を支出したとして、20万円の支払いをするとの提示を受けました。20年ほど借りていたので壁や床には汚れが目立ちますが、単に会社の事務所として使用してきましたので、それほど建物が傷むようなことはなかったと思います。


 このまま貸主の提示に応じなければならないのでしょうか。

 

【相談後】
 貸主から提示された現状回復費用の見積書を確認しましたが、特段借主が負担しなければならないようなものはなく、しかも、個々の修繕費用は高額と言えるものでした。


 そこで、貸主に対しては、内容証明郵便にて敷金全額の返還を求めましたが、貸主は支払いに応じなかったため、敷金返還請求訴訟を提起しました。

 被告である貸主からは、一応原状回復費用についての反論はなされましたが、裁判官からは借主が負担するような費用はないのではないかとの心証が開示されました。
 

 和解協議の結果、当方請求額の元金をそのまま支払うとの内容で和解が成立しました。

 

【原状回復費用の考え方について】 

 賃貸物件を退去した際、賃貸借契約時に支払った敷金がほとんど戻ってこない場合、場合によっては追加で原状回復費用を請求される場合があります。

 

 建物賃貸借契約では、賃貸借契約終了後には、賃借人はその物件を「原状回復」して明け渡さなければならないと規定されていることが通例だと思います。
 この原状回復のための費用として貸主・借主間に争いが生じることがありますが、通常使用による建物の損耗を回復する費用については借主は支払う必要がないというのが裁判所の考え方です。借主が負担しなければならないのは、賃借人の故意・過失による建物の劣化になります。

 

 貸主から原状回復費用の支払い、敷金との相殺を主張される場合には、修繕工事の見積書が提示されることが多いと思います。
 借主としては、その項目が原状回復費用として妥当なのかどうかを確認することはもちろんですが、実際にその工事が行われているのかを確認することも重要です(実際には工事が行われていない、見積書よりも安く行われていることも珍しくありません。)。

 

 貸主から原状回復費用を請求されているが、その請求が妥当なのかという点で判断がつかないような場合にはお気軽にご相談いただければと思います。

 

 

投稿者: 大西法律事務所

2016.04.12更新

ここで紹介するのは、飲食店での超過勤務について、残業代、時間外手当が認められた事例です。

 

【相談前】

 飲食店で調理の仕事をしていましたが、最近退職しました。

 

 その飲食店ではランチ営業から閉店までおよそ12時間を超える勤務が続いていましたが、売り上げに応じた手当以外に残業代、時間外手当が支払われることはありませんでした。

 

 退職の際、店長に残業代について尋ねたところ、契約書に定めたとおりの勤務時間で勤務していたのだから、残業代は発生しないと言われました。

 

 確かに、会社との雇用契約書には勤務時間、基本給が明記されており、勤務時間もほぼ契約書に定められたとおりだったのですが、このような場合は残業代は支払われないのでしょうか。

 

【相談後】
 法定労働時間は原則1日8時間、かつ、週40時間以内と定められており、それを超える勤務をした場合には残業代、時間外手当が発生します。

 

 受任後、会社に対し、タイムカードの提出を求めました。会社は比較的素直にタイムカードの提出に応じたため、その内容に基づき時間外手当を計算したところ、直近の2年間(賃金の時効は2年です。)で1年分の基本給を超える時間外手当が生じていることが判明しました。

 

 会社に対して、未払分の時間外手当を請求しましたが、それに応じなかったため、訴訟提起を行いました。

 

 会社側は売り上げに応じた手当は時間外手当である旨主張しました。この点については、その手当は売り上げに応じて増減すること、店長の裁量によって決められるものであることから、会社側の主張は認められませんでした。

 

 当方の請求をほぼ認容する判決がなされ、会社側は控訴したものの、控訴審では第一審判決が認めた金額を支払うとの内容で和解が成立しました。

 

 飲食店では比較的法定労働時間を超える勤務が常態化していることが多いと思います。この会社では裁判になるまで時間外手当を支払ったことがなかったそうです。

 

 今回のケースは、会社側がタイムカードの提示に応じたため、勤務時間の立証は比較的容易でしたが、タイムカードがない場合でも飲食店の場合は店舗の営業時間によって立証は可能ですし、事務職のような場合でも電話やメール等をした時間を明らかにすることによって立証することは可能です。

 

 時間外手当が支払われていない場合、ご自身の勤務について時間外手当が支払われるべきなのかどうかについて疑問点等がある場合にには、お気軽にお問い合わせをしていただければと思います。

投稿者: 大西法律事務所

2016.03.08更新

 ここでは、商業ビルの一室を賃借していた借主が貸主から明渡しを求められたものの、それには応じず、その後の交渉の結果、約1700万円の立退料を獲得した事例をご紹介します。
 

【相談前】
 ビルの一室を10年以上賃借し、店舗を経営していますが、貸主から期間満了による明渡しを求められました。
 

 貸主は近隣にある某団体にビル及びその土地を売却する予定だそうで、近隣の店舗も立ち退きを迫られているようです。
 

 賃貸借契約は2年契約となっていますが、明渡しに応じなければならないのでしょうか。

 

【相談後】 

 貸主から賃貸借契約を終了させる場合、「契約期間に定めがある場合」(この事例では2年の契約になっていますので、定めがある場合になります。)、「契約期間に定めがない場合」と問わず、「正当事由」が必要となります。

 

 今回、立ち退きを求める理由は、建物を売却するという単なる貸主側の事情であり、正当事由として認められるものではありません。
 

 相手方からは、更新を拒絶する旨の通知が届きましたので、それに対しては、契約終了には応じられない旨の回答書を送付しました。
 

 借主としては、営業上の都合から、その地域を離れることはできないと考えていましたが、近隣にいい物件があり、納得できる立退料が得られるのであれば、立ち退きに応じてもよいと考えていました。
 

 その後、相手方からは、立退料の提示がありましたが、当初は300万円程度の提示であり、到底納得できるものではありませんでした。
 

 結局、貸主は、賃貸借契約が継続した状態で、ビル及びその土地を近隣の団体に売却し、その団体との交渉になったのですが、最終的に、立退料約1700万円、立退きまでの数か月間は賃料免除という内容で合意が成立しました。

投稿者: 大西法律事務所

2016.03.02更新

 ここでは、ゴルフ会員権について、ゴルフ場の運営会社を被告として、預託金返還請求訴訟を提起し、約700万円の返還を受けた事例を紹介します。

 

【はじめに】
 依頼者であるAさんは、バブル期に1000万円を支払ってゴルフ場の会員となりましたが、会員権の価格は10%以下に下落したこと、すでにそのゴルフ場にはほとんど通わなくなっていたことから、預託金の返還を求めたいと考えるようになりました。

 すでに据置期間は経過していました。

 Aさんは、弁護士に依頼し、ゴルフ場の運営会社(以下「運営会社」といいます。)に対して、退会通知をするとともに、預託金1000万円の支払いを求めました。

 その直後、担当していた弁護士が病気になり、事案を引き継いだというものです。

 

【受任後】
 運営会社からは、100万円の提示を受けたところですが、Aさんが到底納得できる金額ではありませんでした。

 そのため、裁判所に預託金返還請求訴訟を提起しました。

 被告となった運営会社は、預託金の返還義務自体は争わず、訴訟は和解協議に移行しました。

 ゴルフ場との会員契約には、毎年一定金額を償却する旨の定めがあったこと、未納の年会費があったことから、その金額を差し引いた約700万円の支払いを受けることで和解が成立しました。

 

 ゴルフ場に対して預託金返還請求をしても、なかなか任意の支払いに応じないのが現状です。これは、会員からの返還にそのまま応じては、ゴルフ場の経営が成り立たなくなることによるものです。

 今後、ゴルフ会員権の相場が上がることは考えにくいですし、運営会社が倒産や民事再生ということになれば返還を受けられること自体困難となります。

 返還を考えている方は早期に弁護士に相談されることをお勧めします。

投稿者: 大西法律事務所

2016.02.25更新

 民法915条1項本文は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と定めています。
 

 ここで紹介するのは、父親の死亡後、約1年後に借金の存在を知った依頼者に相続放棄が認められた事例です。

【相談前】
 金融機関から突然書類が届き、その書類には、父に400万円の借金があり、返済してほしいとの記載がありました。
 

 母はすでに亡くなっており、兄弟はいません。

 父親は1年前に亡くなり、そのことは叔父から聞いていましたが、父親とは私が実家を出るときにトラブルがあったこと、10年以上会っていなかったこともあり、葬儀にも出席しませんでした。

 知人に相談したところ、相続放棄は死亡後3か月までにしなければならないと言われたのですが、私は借金を払わなければならないのでしょうか。


【相談後】
 繰り返しになりますが、民法915条1項本文は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と定めています。

 この規定を厳格に解釈した場合、父親の死亡を知っていた以上相続放棄は認められないということになりますが、裁判所では相続財産(負債も含みます)を知らなかったことに相当な理由がある場合には相続放棄を認めています。

 父親とは10年以上音信普通であり、葬儀にも出席しなかったこと、借金の存在も知らなかったことをまとめた相続放棄申述書を作成し、家庭裁判所に提出しました。
約1週間後、家庭裁判所から相続放棄の申述を受理した(相続放棄が認められた)との通知が届きました。

 それを受けて、金融機関に相続放棄が認められた旨連絡しました。

 相続放棄は相続の事実を知ってから3か月以内にしなければなりませんが、しばらくたってから生前の借金が出てくるといったことは決して珍しいことではありません。
今回のケースは被相続人と相当期間音信不通だったという事情がありましたが、どのような場合に相当な理由が認められるのか、例えば、相続財産の一部を知っていたような場合はどうなるのかといったことも考えられます。
 相続放棄は期間が問題になりますので、何か疑問点がありましたら、弁護士に相談していただきたいと思います。

投稿者: 大西法律事務所

2016.02.18更新

ここでは、交通事故による後遺障害で当初自賠責から非該当という認定を受けたものの、異議申立てを行った結果、14級9号に認定されたという事例を紹介します。

 

【事案の概要】

依頼者であるAさんは赤信号で停車中、追突事故に遭いました。
Aさんは、頸椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負い、整形外科に通院しました。事故から約6か月後、Aさんは、首に痛みが残っていたものの、保険会社から、そろそろ治療費の支払いを打ち切りたいと言われ、通院を中止しました。
その際、Aさんは、通院先の医師から後遺障害の診断を受けるよう勧められ、後遺障害診断書の作成を受けたものの、認定結果は非該当になったというものです。

 

【異議申立て】

Aさんによれば、まだ痛みが残っているとのことであったため、Aさんと一緒に通院先の医師との面談を行い、意見書の作成を受け、さらに、現在でも定期的に整骨院に通院しているとのことであったため、整骨院からは施術記録を取り付けました。

 

医師の意見書、整骨院の施術記録と添付資料として、異議申立書を提出した結果、後遺障害認定結果は14級9号に変更されました。

 

【得られた損害賠償額 50万円→250万円】

Aさんは、当初保険会社から傷害慰謝料として、約50万円の提示を受けていました(後遺障害は非該当であったため、当然0円となります。)。


認定結果が変更になった結果、後遺障害認定も受けたこと、慰謝料についても増額が認められたことから、①傷害慰謝料80万円、②後遺障害慰謝料110万円、③逸失利益60万円、合計で250万円の賠償金を得ることができました。

投稿者: 大西法律事務所

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